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W.A.Mozart
モーツァルト（1756〜1791）
*** 27番まであるモーツァルトのピアノ協奏曲のなかでも20番以降の作品は、そのすべてが円熟した技巧と内面性との結実により永遠の輝きを放っています。今回演奏するイ長調の協奏曲は、1786年ウィーンにおいて、オペラ「フィガロの結婚」をはじめ作曲家としても多くの成功を手にするなどモーツァルトがもっとも多忙な時期に作曲された脂の乗り切った作品で、第24番（KV.491）とともに1986年の四旬節での予約演奏会を目的として作曲されました。この協奏曲では、オーボエに代わってクラリネットが用いられ、フルートとともに曲全体の色調を彩っています。まだ発明されて間もない当時のクラリネットは非常に暗い陰のある低音とうるさいほど輝かしい高音を合わせ持つ楽器でした。モーツァルトはクラリネットを深く愛し、この楽器を用いた作品を数多く残しています。曲は3楽章からなり、整った様式美と慎み深さをあわせもった１楽章、それとは対照的に精気に満ち溢れ、めまぐるしい色調の変化を遂げていく3楽章、その中間にある2楽章は、谷間にひっそりと咲き誇る花のような静謐さをたたえています。静と動とが完全なる融合を遂げ、内的な緊張感をともなって聴き手に忘れがたい印象を与える作品となっています。 |
Music by Takushi Koyama
