Music by Takushi Koyama 
　

*** F.Mendelssohn メンデルスゾーン（1809〜1847）  ***

交響曲第4番イ長調イタリア　Op.90

ハンブルクの非常に裕福な家庭に生まれたメンデルスゾーンは、モーツァルトと同じく幼い頃から芸術分野に飛びぬけた才能を示した。真夏の夜の夢を完成させたときはまだ17歳だったという事実は、この音楽をよく知っている人にとってメンデルスゾーンの早熟ぶりを認識させるには十分である。作曲以外ではそれまで独立していなかった指揮者という職業を独立させたこと、指揮法を確立したこと、当時すでに忘れ去られていたバッハの楽譜を発掘しその価値を見抜き世に知らしめたことは、作曲と同じくらい重要な業績であると認められている。歴史の一瞬をかけぬけるように輝いた彼は、38歳の若さでクモ膜下出血のような症状で世を去った。彼の交響曲は全部で17曲あるが，最初の12曲 が習作的な小品であるため，その後の5曲が番号付き交響曲として扱われ、出版の順番でつけられた番号により、「イタリア」は第4曲目となっている。北国の作曲家の南国に対する憧れの情景が、親しみやすいメロディ、躍動するリズム、明暗の絶妙な使い分けによって生き生きと表されている。イタリアでの印象を綴った曲とあるが、直接的には第4楽章＜サルタレッロ＞がそれに相当するといえよう。サルタレッロとはローマ付近の民衆に流行した男女対で踊るテンポの速い舞曲のことである。曲想はイタリアという表題が表す通りドイツ的なものから遠く離れ、明るい南国の香り漂うものである。

　

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